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【日本物流団体連合会】早急な対応が必要/労働力確保など

 日本物流団体連合会は、4月28日に経営問題委員会を開催し、労働力問題研究会の活動について報告した。労働力確保、少子高齢化、団塊の世代、定年延長、外国人労働力、女子労働力活用、繁忙・閑散期格差と24時間体制、教育、賃金の9項目について問題点を整理。他の産業にも共通する項目であるが、物流業界特有の課題が読み取れ、早急な対応を必要とするものが多くあることなどが判明した。
 労働力確保については、アンケート採取の結果、全体的には、この先4?5年の短期的にはそれほど不安はないが、その後の労働力確保を心配している企業が多いことがわかった。事前アンケート結果では、団塊世代の退職により絶対数が不足すると考えている企業が約3社に1社あり、若年労働力不足を感じている企業は4社に1社だった。また、従業員の高齢化が進んでいるとの回答は、過半数だった。
 物流業における従業員推移をみると、減少が著しいのが内航海運で、この10 年間で約半数になっている。そのほかの業種は、ほぼ横ばいか若干減少傾向を示している。また、事業者数が増加しているトラック運送事業では、ドライバー数は減少傾向を示している。
 こうした問題に対して、委員会で議論した結果、「内航海運においては減少を継続してきたため、今後の労働力(船員確保)に不安があり、中高年の労働力の活用が不可欠となる」「57歳から年金受給する制度にあって、再雇用応募者は少ない」「人件費高騰が予測される」「長距離フェリーにおいては、今のところ問題ない」「ドライバーの確保が困難」「高年齢者の安全適正診断(動体視力検査)をみて再雇用を実施しているが合理性に不安」「フォークリフト作業員の不足」「若年労働力の確保が困難」「倉庫内作業員の不足」などの意見が出された。
 少子高齢化については、アンケート結果では「高齢化の現象はすでに半数以上の企業で生じており、将来的不安を感じている企業が大多数」とし、対策については、外国人の採用、中途採用、定年延長・再雇用制の前倒しなどさまざまな方策があるが、決め手がないとの見方が多かった。
 将来人口から見た高齢化の実態としては、?今後は人口そのものが減少する、人口減少時代に突入している?高齢者の割合は確実に増加し、人口に占める65歳人口の割合は、2010年で約5人に1人、2020年では約4人に1人となることが予想されている?特に女性の高齢化が著しい?定年延長などで労働力人口を15 歳?65歳と考えても、その割合は2010年で64%、2020年60%、2030年59%、2050年54%と減少していくことが予想される――などとした。
 委員会での議論では「年齢階層別の雇用対策の必要性」「大卒現業職の積極的導入」「60歳以上労働力の定年延長と再雇用」「中高年、女子労働力、外国人労働力の活用」などが指摘された。
 団塊の世代の問題については、事前アンケートで、将来、知識やノウハウの継承に不安を抱いている企業は約6割であった。ほかのアンケート結果を見ると、半数の企業で団塊世代の退職による絶対数不足に不安を抱いている。質の高い労働力の確保についても、現在も、特に将来不安を感じている企業が多い。
 同委員会では団塊世代の特徴として?団塊世代の絶対数は、年約270万人で、3年間で約700万に弱になる?団塊世代の退職金は年約10兆円以上となり、通常の約倍になる――とし、マイナスの効果は、経済全体が縮小する、技能・知識の伝承がうまくいかない、社会保障制度に問題が生じる、などが懸念されている。プラスの効果として、重い人件費から開放される、労働生産性を高めることが可能となる、新しい市場を創造する可能性があるなどが挙げられている。
 委員会での議論は「団塊の世代の相次ぐ退職は、技術の継承に不安がある」「管理職の不足(殊に現場を指揮・監督する中間管理職が不足)」「簡単に若年労働力で対応できないし、確保も難しい」などの意見が出された。
 同委員会ではこのほか、60歳以上の定年延長の問題、外国人労働力活用の問題、女子労働力活用の問題、繁忙・閑散の格差と24時間体制への対応問題、教育問題、賃金問題についても議論をまとめている。