流通在庫の管理・削減|通販物流代行・物流コンサルティング・社員教育のイー・ロジット
e-logit.com

物流関連書籍

物流

流通在庫の管理・削減

流通在庫の管理・削減

鈴木 邦成

書籍を購入する

内容

 はじめに
 在庫とは商品などが消費者の手に渡るのを待っている状態の事です。工場などでつくられたものは市場や問屋、小売店などを経由して私たちの手元に届きます。しかし、商品が消費者の手に渡るには時間的なギャップがあります。この時間的なギャップを埋めるのが在庫という概念です。
 一般的に企業活動を活発に行うと在庫は自然と増えることになります。たとえば、一括して部品などを大量に仕入れ、大量生産を行い、大量輸送を繰り返し、店頭に大量の商品をそろえるケースを考えてみてください。必然的に各拠点では多くの在庫を抱えることになるでしょう。企業の立場からいうと、「いかに安く優れた商品をつくるか」ということがとても重要なことになりました。そして、そのためには商品をできるだけ大量に生産することが、きわめて重視されました。
 高度成長期などには倉庫に大量の商品が積まれていることは、よいこととされました。たくさんの商品が倉庫にあるということは企業の財産にあたる「資産」があることとして評価されたからです。けれども、生産しすぎた売れ残り商品の処理に苦労する企業が増えてきました。そして多くの企業が在庫削減に積極的に取り組んでいるのです。在庫を多く抱えるとキャッシュフローが悪化するという判断もあります。
 本書ではこうした点をふまえ、おもに流通過程で発生する在庫の削減についてそのノウハウや理論、戦略、さらには背景、今後の動向などをすぐに実務に役立つように1テーマを見開き2ページの絵解きでわかりやすく解説していきます。メーカーが生産した商品が問屋や小売店などを経由して消費者に渡るまでの過程で、在庫としてどのように保管、管理されているかを説明し、その効果的な削減の方策を紹介します。
 第1章では在庫とは何かということをわかりやすく解説していきます。在庫削減を行うにあたっての前提条件となる基本知識の整理を行います。
 第2章では在庫削減とその理論についての大枠などについて解説し、それをふまえて第3章では流通過程で発生する在庫の削減とリードタイムの短縮の関係についてわかりやすく説明します。
 さらに在庫削減が物流センターの運営やキャッシュフローの改善と密接に結びついていることを念頭において、第4章では物流センターとの関係について、第5章ではキャッシュフローとの関係についてそれぞれ要点を説明し、在庫削減に対する理解を深めます。
そして第6章では具体的な在庫削減で効果を上げている企業事例を紹介し、第7章ではこれからの在庫管理と在庫削減の動向や方向性について解説します。
 生産と消費のギャップを埋める在庫管理、在庫削減というビジネスフィールドの重要性は現代の企業経営や経済活動のなかでますます重要度を高めています。本書を読むことで読者のみなさんの在庫管理、在庫削減に関する理解が深まり、さまざまな可能性をさらに広げられることを祈ってやみません。
2007年4月                             鈴木邦成

目次

はじめに
第1章 在庫とは
?「在庫」は身近なもの
?経営を左右する在庫戦略の重要性
?在庫戦略とサプライチェーンマネジメント
?企業経営における「在庫」とは何か?
?需要と供給の溝を埋める「在庫の役割」
?在庫にはどんな特性があるのか?
?多くても少なくてもいけない在庫量
?「不良在庫」とはどんなもの?
?適正在庫量をどのように設定するか?
?引き当て在庫の有無で左右される在庫管理
コラム 無在庫経営は可能か?

第2章 在庫管理と在庫削減の方策
?在庫管理とは何をするのか?
?保管をしっかり行うことで在庫管理も容易に
?在庫管理の責任はどこにあるの?
?出荷の実績や予測に基づいて在庫の性質を判断
?サプライチェーン全体での在庫管理を推進
?需要予測を考えながら在庫を管理
?しわ寄せや裏コストに注意して無在庫を目指す
?大量生産と受注生産の双方の利点をミックス
?出荷量を分析、予測しながら在庫削減を推進
?在庫拠点を集約し、トータル在庫も削減
21.共同物流の推進で在庫拠点の削減に対応
22.季節やトレンドの変化などへの対応を重視
コラム 在庫削減実現のプロセス

第3章 在庫削減とリードタイムの短縮
23.商品を迅速に供給できる在庫システムが必要
24.大きな商品在庫が不要な物流システムの構築
25.商品の多様性と在庫削減の両立を図る
26.在庫を削減しつつ顧客サービスの向上を実現
27.工場から直接、最終消費者に商品を配送
28.納品側が店舗の在庫を管理し、補充量を把握 
29.サプライチェーン全体の視点から在庫削減を推進
30.在庫量を経営判断の中心に据えるトヨタの発想
31.物流システム全体のムダを省き、リードタイムを短縮
32.多頻度小口処理の戦略的導入で在庫圧縮を実現
33.返品の可視化を推進し、過剰在庫を回避
34.3PLの導入で効率的に在庫削減を実現
コラム 在庫削減の障壁となる日本的商慣行

第4章 在庫削減と物流センターの運営
35.物流センターのレイアウトを考える
36.在庫管理に必要な情報システムとは?
37.適切な在庫管理を行うための入荷・入庫プロセス
38.保管方法を入念に検討して在庫管理を効率化
39.荷動きの頻度によって保管方法を変更
40.在庫管理の基本となる先入れ先出し法
41.在庫管理・削減のベースとなる発注法の考え方
42.5Sを実践することで在庫削減が可能に
43.「定点観測」の導入で不要な在庫を早期に処分
44.売上高・出荷量の把握で、合理的に在庫を管理・削減
45.商品のライフサイクルや注文件数も考慮して在庫を管理
46.Zチャートの導入で計画的に在庫削減を実現
47.品ぞろえや陳列を工夫して店頭在庫を削減
コラム 旗艦店の増加と在庫戦略の変化
第5章 在庫とキャッシュフロー
48.現代経営に必要な「在庫キャッシュフロー」の概念
49.在庫キャッシュフローを意識しての実地棚卸
50.「棚卸資産」としての在庫への対応も的確に
51.過剰在庫をすみやかに廃棄して経営を健全化
52.在庫回転率から在庫の特徴を理解
53.粗利益率、在庫回転率から在庫の特徴を理解
54.定番商品、新商品、特売商品の在庫戦略
55.在庫回転率大きくても不良在庫増大のリスク
コラム 在庫削減KPIの導入と読み方

第6章 在庫削減の事例検証
56.徹底的な在庫削減を念頭に戦略を構築したウォルマート
57.拠点の効果的な統廃合を進める国分の在庫削減戦略
58.コントローラー制度の導入で在庫適正化を推進する「しまむら」
59.トヨタ生産方式を店頭へ導入した無印良品
60.RFIDの導入で入庫管理の効率化を推進するヨドバシカメラ
61.「在庫削減の基本メニュー」を包括的に展開
62.商品の種類や総在庫量を明確に把握し、在庫を削減
コラム ロングテールが解消される!?
第7章 これからの在庫削減の課題
63.「在庫削減の切り札」として進むICタグの導入
64.生販一体での在庫削減をいかに推進していくか
65.需要予測を組み込んだ在庫管理の推進
66.定番商品以外の在庫削減がこれからのポイント
67.日本を起点として、ワールドワイドで在庫を削減
コラム 在庫管理の理論構築

メールニュースの登録
物流ニュース(朝刊)
物流話(メールマガジン)随時配信