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本書の特徴をまず挙げてみる。編集組織が充実している。つまり、監修-総編集-編集-執筆と、構成がしっかりしている。目次が見やすい。索引が充実している。ページが色分けされ、さっと開ける。写真とイラストが豊富。そして、自己診断用CD-ROM(健康セルフチェック)までついている。ウィンドウズ、Macintosh両システムに対応している。冒頭に「二十一世紀の初頭にあたり、本書を『健康の日本』のため世におくります」とあるが、その意気込みと良心が感じられる。初版発行(1947年)から435万部も購入されたのはちゃんと理由があるのである。
目次をみてみよう。「応急手当て」「検査の知識と正常値」「症状による病気の見分け方」「病気の知識と治療I、II」「妊娠・出産」「病気の予防と家庭での健康知識」「最新医学の基礎知識」「医療保険の知識」とある。「病気の知識と治療」は、「頭部」「胸部」「腹部」「背骨と手足」「全身」の項に分けられ、さらに、各器官などの細目に分けられている。したがって、見開きの目次をひもとけば、すんなりと調べたい項目にたどり着ける。なかでも、「子どもの病気」「女性の病気」「こころの病気」「環境病」「介護のしかた」「家庭でのリハビリテーション」「食事療法のいろいろ」「薬の正しい知識」「東洋医学」にも各1章を設けている点に"やさしさ"を感じる。
内容を見てみよう。冒頭の「応急手当て」では、「救急車の呼び方」「患者の運び方」に始まって、多数のイラストを用いて、緊急時に素人がいかにして最善を尽くすか、その方法が細かに説明してある。また、「出産」の項をひもといてみると、胎児や幼児の可愛らしいイラストが豊富で、ついつい読み進んでしまう。文章は平易で読みやすいのだ。母親の食事の指南や、分娩室での心得までも記述されており、感心する。最新医療の項では、「安楽死」「遺伝子治療」「医療過誤と医事紛争」「インフォームド・コンセント」「環境ホルモン」「クオリティー・オブ・ライフ」など、まさに医療の百科事典(エンサイクロペディア)の面目躍如たる面をみる。(本所 凱)