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トヨタ式 世界を制した問題解決力

トヨタ式 世界を制した問題解決力

若松 義人

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内容

「知恵を出す」という指令塔からトヨタ式全体を眺望する
 トヨタ式は、「KAIZEN」が今や国際語となったように、国内外の多くの企業が、
きそって導入し、すばらしい効果を上げている。
 ところが、その半面、「効果なんか出ないよ」という会社もある。
 トヨタ式は、「人間の知恵の上に立つ」と言われるほど、社員一人ひとりの知恵を重視し、知恵を出せる人の育成に心をくだいている。それに対して、トヨタ式を「できない」とあきらめてしまう会社は、決まってこう言いわけする。
「うちはトヨタさんと違って、知恵を出せるような人間がいません。第一、毎日の仕事で疲れ切った社員に、もっと考えろと命じても、そうそう聞いてくれませんよ」
 はたして、その会社には、知恵を出せる人が本当にいないのだろうか。
 そんなことはない。トヨタ式の生みの親・大野耐一氏は、よくこう言っていた。
「仕事で疲れている人に、そのうえ知恵を出せと言っても、なかなか出にくいものだ」
 トヨタ式を実践できる企業も、実践できない会社も、前提は同じなのだ。
 ただし、そこから先は大きく異なる。
 トヨタは、働く人の大変さを十分に理解したうえで、「では、どうすれば知恵が出るのか」
を長年にわたって工夫してきた。そして、問題解決システムとして定着させてきた。
 たとえば、「人は困らなければ知恵は出ない」というセオリーが代表例だ。
? 不良箇所が出ると、ラインを停止する。
とりあえず不良品を取り除いて動かしたりはしない。停止させる。これは現場にとって、非常に困った事態だ。「なんとかしなくては」と必死で考える環境をつくるわけである。
?「なぜ」を五回くり返す
 表面的な「原因」の裏に隠れた「真因」を探るためだ。深く考える環境がつくられる。
 このあとにも「目で確かめる」「ヨコテンする」などのステップが続く。小さな知恵を大きく育て上げたり、上司が部下をフォローしたりするシステムも整えられている。
 トヨタ式を実践できない会社は、この「考えさせるシステム」を実践できていないのだ。知恵を信じず、上意下達の命令系統に頼って、手段にすぎない「かんばん」を取り入れ、「ジャスト・イン・タイム」の実現をあせっても、社員は混乱するばかりである。
 知恵は、みんなに平等である。知恵を出す技術は人によって大きく違うが、技術なのだから、学ぶこともできれば、日々磨くこともむずかしくない。頭に「知恵の出力回路」をつくろう。そうすれば、トヨタ式は驚くほどの効果を上げてくれる。
 こういうトヨタ式の根幹の仕組みを、集中的に説いたのが本書である。問題解決は「部分最適」でなく、大局的な「全体最適」でなければならない。多くの事例をあげた。「知恵を出す」という高い塔に上って、トヨタ式全体を眺望できるはずだ。
 トヨタ式においても、改善によって、毎日、劇的に原価が下がり続けるわけではない。ほとんどは、目に見えない差の積み重ねである。しかし、そんな積み重ねが、やる気とやりがいを目に見えて高めるのだ。
問題解決力を支える情緒面の強さも、同時に身につけていただければ幸いである。

目次

序章 小さな改善がかなぜ世界をリードしたのか
? トヨタ式は問題がなければ問題を見つけてでも改善する
強者ほど「負ける恐怖」を強烈に持っている
? 実際的思考をさせるトヨタ式の工夫
「一分のスキもない論理」にボロボロ欠けているもの
? トヨタ式は「貧乏人の苦肉の策」だからこそ強い
成功物語はチームワーク物語でもある
? 「お金より心」は精神論でなく改善の原動力
  トヨタ式には「一人で暗く考えこむ人」がいない

1章 トヨタ式は「考える力」をつける世界標準
? 少し困れば少しの知恵が、大きく困れば大きな知恵が出る
「あれさえあれば」発想から「あれがなくても」行動に進化せよ
?「できない」と決めつけないのがトヨタ式
 ラクにやれる方法を追求すれば仕事はうまくいく
?「難路が近道」だと知っているか
 要注意!短気にシメると短気でゆるむ
? 外注を減らすことで実践思考が増えてくる
「みんながやるように」では競争に勝てない
? 短期的には不利になっても「なぜ」を五回くり返す
問題個所だけに問題があるのではない
? 「見る」から「観る」に、「聞く」から「訊くに入力回路を変えていく
 「考えて、もう一つ考える」習慣が始まる
? 慣行や前例に発想をしばられないために
「見たのか」はトヨタ式に必須の問いかけ
? イエスだけで応じず「それに加えて」で応じよう
トヨタ式は上司の指示にも知恵を加える
? わかっていてヒントだけ出すのがトヨタ式上司
どこがわからないのかを部下に気づかせる
2章 やってみることは思考の一部である
? トヨタ式は「もう少しやろう」の積み重ね
トラブルは再発するたびに大きくなる
? 「汗水たらす仕事」をなくそう
  生産法・生産品・生産者みんなが向上するのが改善
? 「すぐに」と「ラクに」がなぜ同義語なのか
  トヨタ式に「あとで」という答えはない
? 考えるとき選択肢を「増やしていく」のがトヨタ式
いい解決策は全体最適を頭に置くと見つかりやすい
? 成功法には「失敗のノウハウ」も含まれる
二代目は「苦労した初代」を超えられない
? いちいち考える作業は「考える作業」とは違う
思考のムダを節約する
? 環境を変えることで考え方を変えていく
労働強化を防ぐ方
? 部分を追っても全体にはたどり着けない
必要数こそ解決のオールマイティ
? やさしい仕事も手順はくずすな
トヨタ式は小事を守ることで大事を防ぐ
? なぜトヨタ式は人を増やさない増産もできるのか
必要が知恵を引き出す
3章 トヨタ式の強さは「知恵がチームを組む」強さ
? トヨタ式に「越権行為」はありえない
一人の天才より百人の普通人の束が強い
? 「後工程はお客様、前工程は神様」の真意
  ほかの工程を助けることが自分を助けることにもなる
? トヨタの上司は、御用聞きのように部下から知恵を引き出す
  創意くふう運動の始まり
? 組織も困らせてこそ大きく育ってくる
人を選ばずに育てるのがトヨタ式
? 世界を制したトヨタ式「徳川三河の軍団力」
なぜトヨタは「泥くさい団体行事」を誇るのか
? トヨタ式は「率先力」が誰でも必ず強い
診断士でなく治療士になれ
?「いばるより粘る」で人を動かす
  アメリカに出向した元トヨタマンの話
? トヨタ式「上司豹変」のすすめ
 仕事の大部分は信頼関係である
? トヨタ式は負担増を注意深く避ける
 まず自分を変えることで周囲を変えていく
? 職人が育つのはいいが、職人に頼ってはいけない
 システムづくりは標準づくりから
? 悪いときに活躍できる人がよい人材
 クレーム処理は一つ上の役職者が顔を出せ
4章 夢は見える化せよ、失敗は数値化せよ
? トヨタ式はライバルより「トップ」ときそう
 大野耐一の部下を鍛える五つのステップ
? 満足しても慢心するな
 改善したところをまた改善して、さらに改善する
? がんばりより結果を、結果よりプロセスを評価せよ
 くり返せるのが本当の成功である
? 「A3用紙一枚」から始まる見える化
 未整理情報はしばしば害をもたらす
? データは使うもので、頼るものではない
 現場を見ると数字のアヤが見抜ける
? 書類が勘を鈍らせる
 事故はなぜ急減できたのか
? ミスをしたくともできない環境をつくる
 トヨタ式上司に求められる五つの資質
? 社員に「経営者の夢」を持たせる
 トヨタ式上司に求められる五つの資質
? トヨタ式はどう「未来力」を鍛えるか
 仕事の付加価値は夢である
終章 「まだ」意識がトヨタ式を「また」進化させる
? 自分で自分を評価するな
トヨタ式進化の方程式?―――ベンチマーキング
? 企業も「自分だけが」意識を捨てることが必要
トヨタ式進化の方程式?―――協力会社コラボレーション
? トヨタ式は「欧米型」と明快に一線を画す
  トヨタ式進化の方程式?―――人情を活かす経営
? トヨタは「弱小日本の貧乏企業時代」精神を今も忘れない
トヨタ式進化の方程式?―――危機意識の継承

あとがき

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