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グローバルリーダーシップ

グローバルリーダーシップ

戸川 宏一

内容

まえがき
 近年の交通・通信技術の発達と共に、グローバル社会が益々身近になってきた。
インターネットによる地球規模の情報網が登場し、情報が瞬く間に世界中を駆け巡り、いつでも、どこにいても、情報を共有することが可能になった。グローバル化は、現代の我々を取り巻く環境を大きく変化させ、日本の政治・経済・社会の全てに影響を及ぼしている。
 十数年前の日本では、高度経済成長を経験し、バブル経済の下で国や社会全体に勢いがあった。グローバル化も未だ殆ど進んでおらず、日本の各企業は、国内での市場拡大と高収益化を達成し、海外からは日本的経済の良さが評価され、絶頂期を迎えていた。一部の企業を除いて、他の国へ進出するというよりは、海外の資産を買うために、国内で余った資金を投入するほど潤沢な資金のある日本企業が多かった。
 しかし、その後バブル経済が崩壊し、1990年代後半からつい最近の2000年代の初めまでの期間は、一転して『日本の失われた10年』といわれた時代があった。
この間、日本は長いトンネルの中で、経済停滞に苦しむことになった。企業の勢いもいつの間にか止まって、国内では政治・経済・社会のそれぞれに、古い日本と新しい日本の様々な問題が錯綜し、大きな変化の時代であった。最近は、やっと長いトンネルを抜け出て、経済に明るさが見えてきたようだ。
 日本が国内での経済停滞に苦しみ、人々の目が国内に向いていたこの時期に、世界経済では大きな変化が起きていた。
 今世紀が『アジアの世紀』といわれるように、中国、インドの台頭が著しく、これらの国に、有望なマーケットであるロシアとブラジルを加え、30億人のマーケットである、『BRICs』時代の到来といわれている。このような世界情勢の中で、環境も大きく変化し、企業経営も難しい時代になっている。国としても、日本の企業としても、過去の栄光やしがらみを捨てて、グローバルな競争に真正面から向き合わなければならない時代になった。
 グローバル競争が益々激しさを増す時代になり、企業経営者はどう対処したら良いか悩むところである。世界で最も尊敬されている経営者の一人、ゼネラルエレクトリック社の元CEOジャック・ウェルチ氏は、「変化を予測しあれこれ考えを巡らすよりも、新しく起きた変化に、組織として如何に機敏に対応出来るかの方が重要である。」と述べている。つまり、これからの企業は、何が起こるかわからないグローバルな環境における変化を素早く察知し、その変化に対して、企業組織としてどのように機敏に行動するかが、グローバル競争の勝負を左右するのだ、ということを示唆している。
 グローバル競争に勝ち残るために企業に求められるのは、何といっても企業文化の再構築であり、組織をリードする優れたグローバルリーダーの存在である。今日のようなビジネス環境の下では、経営者のリーダーシップの舵取り如何で、競合他社に対する優位性が業績結果に現れてくる。数年前まで業績好調であった企業が、グローバルマーケットでの競争に敗れ、突然経営不振に陥り、結果として優良企業グループから脱落してしまうことがある。そうかと思うと一方では、まったく無名の企業が彗星のごとく短期間で世の中に現れ、世界をあっと驚かせることがある。このような現象は、今後とも数多く見られるであろう。過去のセオリー通りでは、もはや簡単に解決できない問題の多い時代になったのだ。
本書の内容構成としては、
 第?章「グローバル化の波」で、先ずグローバル化が日本の社会や企業にどのように影響しているかについて顕著な実例から概観すると共に、グローバル化の中で直面する「壁」をどう乗り越えるかについて記述している。
 第?章「企業のグローバル化と異文化マネジメント」では、グローバル企業がどのような特徴を持っており、どのようなプロセスを踏んでグローバル企業として発展しているのかを記述している。また、異文化マネジメントの問題に触れ、その中でのグローバル経営戦略について述べている。
 第?章「グローバル企業に学ぶベストプラクティスとグローバル・リーダーシップ」では、日・米・欧の特徴的で、代表的なグローバル企業のベストプラクティスを取り上げている。また、その企業をリードしてきた、グローバルリーダーの素晴らしい理念と、実行力についての実例を記述している。
 第?章「企業文化の再構築と多文化時代のグローバル・リーダーシップ」では、この本の主題である、企業文化の再構築の必要性と、優れたグローバルリーダーの存在と育成が如何に大切かに焦点を当てている。

 本書を発刊するに当りご指導頂いた、株式会社国際経営協力センター代表取締役の井上昭正氏に感謝申し上げたい。
 本書が、グローバル企業を目指して取り組んでいる日本企業の経営層や管理職の方、グローバル企業に関心を持って研究している方に、少しでも参考になれば幸いである。
2006年12月
インターマックス・コーポレーション
代表取締役社長 戸川 宏一

目次

グローバル・リーダーシップ ?世界をリードする人間力?目次
まえがき
第?章 グローバル化の波
――ますます近くなった世界――
1 ボーダレス化とグローバル社会の進展
1) どこまで進むか情報通信の技術
2) 驚くべきスポーツのボーダレス化
3) 海外旅行もグローバル化の推進役
2 日本と海外に横たわる壁をどう乗り越えるか
1) 依然として存在する言語と文化の壁とは
2) 外資アレルギーの壁をどう越えるか
第?章 企業のグローバル化と異文化マネジメント
1 真のグローバル企業とグローバル・スタンダード
1) 真のグローバル企業とは
2) グローバル・スタンダードは変化する
2 グローバル化への発展プロセスと戦略的な展開
1) 日本企業はどうグローバル化したか
2) グローバル企業の戦略的な展開と超国籍戦略
3 高コンテクスト日本と異文化マネジメント
1) 日本の高コンテクスト文化は世界には通用しない
2) 国民性や文化が経営に与える影響とは
第?章 グローバル企業に学ぶベストプラクティスとグローバルリーダーシップ
1 ABBのマトリックス組織と小さな本社
2 トヨタ生産方式の成功とGMとの合併
3 モトローラの携帯電話とシックスシグマ
4 ホンダイズムと世界戦略
5 GEを発展させた経営多角化とワークアウト
6 キャノンを変貌させた人づくりと独自の技術
第?章 企業文化の再構築と多文化時代のグローバル・リーダーシップ
1 日本的経営の変化と解決すべき課題は何か
1) マーケット志向の日本的経営とは
2) グローバル化による日本企業の今後の課題
2 グローバル化の中で企業文化をどう再構築するか
1) なぜ企業文化の再構築が必要か
2) コンプライアンスの軽視が企業の命取りになる
3) グローバルに通用する企業への変革
3 グローバルリーダーの発掘と育成が競争優位に導く
1) グローバル・リーダーシップとは
2) 世界に通用するグローバルリーダーの手腕
3) グローバルリーダーに求められる能力要件とは何か
4) グローバルリーダーをどう選抜し育成するか
5) グローバル企業ではどのように人材育成を行っているのか
◇ インターマックス・コーポレーションの役割
あとがき
参考文献

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