日経BP企画
*会社が変われない本当の理由*
「TOC(制約条件の理論)」の解説書。その考え方を小説の形を借りて説明している。機械メーカーの再建ストーリーを展開するなかで、TOCの理論と実際の適用手法を具体的に記述している。TOCを"実践"したい人にとっては、格好の入門書になる。
こう聞くと多くの読者は、TOCの提唱者であるエリヤフ・ゴールドラット氏のベストセラー『ザ・ゴール』を思い出すだろう。本書と『ザ・ゴール』の違いは、その説明の丁寧さにある。
翻訳された3冊を読む限り、『ザ・ゴール』をはじめとするゴールドラット氏の著作だけでは、TOCを実際の企業再生にどう利用すればよいのかをなかなかイメージできない。これに対して本書は『ザ・ゴール』などにも登場した「現状分析ツリー」、「未来実現ツリー」、「雲」、「好ましくない結果」といった変革のための方法論「思考プロセス」をわかりやすく説明している。
例えば、「設計部門が生産/販売部門と対立している」、「顧客情報を握っている代理店に高額のマージンを払わざるを得ない」といったありがちな問題を取り上げる。その原因を現状分析ツリーなどによって探り、対策を解説している。
社長の決意
コンサルタント金山、古井事業部を訪ねる
ゴールと必要条件を見つけ出す
古井事業部の問題点を洗い出す
サプライチェーン全体を一つのシステムと考える
TOC流通・サプライチェーンを活用する
部品サプライチェーンの未来像―未来実現ツリー
焦点の五ステップを適用する
悪い企業風土の原因を究明する
根本原因を見つけ出す
「何を変えるか?」―根本原因の解消
事業部の未来像―リストラなき業績回復
TOC流通・サプライチェーンとERPシステムの導入
技術部長の目覚め―ツリーが人を動かした
そして事業部は変わり始めた