労使同軸 その20年の航跡
福井 誠
まえがき
歴史は語部を失った時風化するのではないか・・・・・・そんな疑問から、
我が愛すべき京セラ労働組合の創草の歴史に一隅の光を照らしながら
時間をなぞらえてみたいと考えた。日本書記の語部程の大河ドラマを
展開出来ないにしても、そこに生きた執行部の人間史、エピソードと
いったものを次世代に語りつげるなら所期の目的を達し得るのではな
いかと考えた。
他方、今日の世界、歴史は日進月歩から分進秒歩へとスピードをあげて
変化をとげようとしている。過去二十年という光陰は次世代では、瞬時の
出来事となる。二十年の業績や足跡は、組合の蚊取りを次世代に委ねるや
いなや、これを超えてスピードをあげ且巨大なものにしてくれると確信する。
我々が愛すべき先達の苦労、そこに横たわる不変の心情を汲みつつ、
若い世代の知恵と才覚が加わるからこそ歴史は塗抹を繰り返すと思う。
ささやかな、誠にささやかな京セラ労働組合小史がかかる次世代への
メッセージとなり、エネルギーになることを希みつつ筆を進めたいと考える。
殊に玉川労働問題等全く無縁の人々が入社する中で、歴史の定着の裏に
秘むものを書き留めていく必要が今こそあると実感した。
また、稲盛会長が若手企業家の育成に自からの後半生を掛けたいと盛和塾で
心血を注いでおられる最中、稲盛会長からも是非紐解き試みればどうかとの
示唆もあり発刊の運びとなった。
上刊に当っては、労働組合関係者のご理解に感謝の辞を送りたい。
それは私自身の二十四年間に亘る組合活動への名実ともにピリオドと考える
し文中の文章やメッセージ、資料の一つ一つが私の筆で綴られたものである丈に
折々の吐露を自分の書架に留めておきたいという欲求からも発端している
疾風怒濤京セラ労組20年を顧みて・まえがき
第一章 労使同軸・京セラ労働組合憲章
第二章 労使同軸・その20年の航跡
一 組合設立期
二 労働組合設立メッセージ「ある少年の夢」より
三 証言一 労働組合結成時の思い出を語る
四 組合活動ためらい期
五 証言二 迷走する組合活動
六 組織体制確立期(その一)
七 組織体制確立期(その二)
第三章 ベースアップ凍結、そしてゼンセン同盟脱退
一 ベースアップ凍結
二 昭和50年度・ベースアップ問題について(職場集会用資料)
三 ベースアップ凍結、そしてゼンセン同盟脱退(その二)
四 ゼンセン同盟脱退の後処理と自己主張開始
五 長期計画
六 ゼンセン同盟脱退以降、労働組合の骨格形成と三つの課題の実現
第四章 地道な活動定着へ
一 ベースアップ凍結の後始末
二 確実なる進展
三 苦節の10年目労使関係の思いが花開く
四 輝ける20周年に向って自信と誇りを
五 安心の労働条件づくり
第五章 合併と労働条件改定の中で新しい京セラのステージを開く?
一 合併と労働条件改定の中で新しい京セラのステージを開く?
二 合併に伴う組合組織化について
第六章 合併と労働条件改定の中で新しい京セラのステージを開く?
一 声明文ヤシカ合併に寄せて
二 ヤシカ労組の受入れ、労働条件の整合
三 資料:京セラ労働条件移行に当たっての運用
四 資料:参議院選取組姿勢
第七章 京セラ四半世紀の歴史と新しいうねり
一 昭和59年創立満25周年を迎えて
二 組織・労務問題について(1)
労働条件の総点検はじまる61年
二 現実と未来を見つめて?昭和62年
第八章 転換点となった昭和60年
一 国会追求に関する声明文・ご家族の皆様へ
二 組織・労務問題について(2)
第九章 “変革への提言”に大いなる足跡を残す
一 三 労働条件改定?外堀はうまった いよいよ本丸へ
四 輝く組合設立20周年
五 しめくくりとして
第九章 あとがきにかえて
一「私と組合」顧みて思うこと
二 物静かに労使関係をみつけて
塾生に贈る唄「愛馬行進」