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| ■国土交通省/首都圏空港を含めた徹底的なオープンスカイを推進(国土交通大臣年頭所感) |
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◆国土交通大臣年頭所感 「新年のはじまりにあたって」 平成23年という新しい年を迎え、謹んで新春のごあいさつを申し上げます。 昨年は、政権交代によって政治や行政のシステムが大きく転換してから、本格的に予算編成等の行政運営に取り組んだ最初の年となりました。私も国土交通副大臣として、また、昨年9月からは国土交通大臣として国土交通行政に携わり、山積している課題の解決に向け、全力を挙げて取り組んでまいりました。 本年も引き続き改革を継続し、更なるスピードアップを図りつつ、社会資本整備や交通政策の体系の構築などを通じて、我が国が抱える課題等へ対応してまいる所存です。 私は、国土交通行政は3つの観点から国家の背骨を築いていくものであると認識しております。 一つ目は、国土の背骨としての観点です。国土の礎となる社会資本整備のあるべき姿をしっかり示して、これを実現させてまいります。 二つ目は、国民生活の背骨としての観点です。国民生活の安全・安心を確保するための災害対策、豊かな国民生活の実現のための住宅政策や地域交通の確保等に取り組んでまいります。 三つ目は、地域経済を支える産業の背骨としての観点です。成長戦略に関する施策を実現し、国際競争力の強化を図っていくのみならず、観光、建設・運輸産業等、内需の中心となる産業の育成を進めてまいります。 このような三つの観点から、幅広い国土交通行政に関わる施策を総合化、体系化することにより、施策の効率と効果を高め、国民の皆様の目に見える成果を提示していくことが私どもの使命と考えております。 <社会資本整備、交通政策のあり方について> 私は、公共事業には3つの機能があると認識しております。第一は、維持管理を含め、真に必要な社会資本を整備する機能、第二は、地域間の再分配機能、第三に経済対策としての機能です。私としては、第一の機能を基本として、真に必要な社会資本整備のあるべき姿とその推進方策についてしっかりと議論し、国民に分かりやすくお示しすることが必要だと考えております。そのため、これまで、公共事業予算の見直し、事業評価の改善や需要推計手法の見直し、「選択と集中」による重点化等、限られた予算を効果的・効率的に活用できるよう、徹底的な改革に取り組んでまいりました。今後とも、このような公共事業の改革は引き続き進めてまいります。 また、こうした改革の成果を踏まえ、国土に関する長期的な展望を持ちつつ、国土、生活、産業の「3つの国家の背骨」を支える社会資本整備が果たすべき役割を明確にすること、すなわち、社会資本整備のマスタープランを定めることが重要であると考え、「社会資本整備重点計画」の見直しにも着手しております。昨年末には、社会資本整備審議会・交通政策審議会計画部会において次期計画の骨子案をご提示いただいたところであり、これを踏まえ、本年夏頃までに新たな計画を閣議決定し、平成24年度予算への反映を目指してまいります。 併せて、国土交通政策において、社会資本整備とともに大きな柱である交通政策についても、その中核となる「交通基本法案(仮称)」の検討を進めております。昨年末、交通基本法案検討小委員会において、交通基本法案の立案における基本的な論点についてとりまとめていただいたところであり、これを踏まえて同法案の制定を目指すとともに、交通政策のマスタープランとなる「交通基本計画(仮称)」の早期策定を目指してまいります。私は、この2つの計画が国土交通政策の今後の方向性を示す、車の両輪になると考えております。 <安全・安心な社会づくり> 我が国は、地震・津波や水害・土砂災害・高潮災害など、自然災害に対して脆弱な国土条件にあります。最近では、奄美地方の豪雨災害など、各地で集中豪雨による被害が発生しており、地球温暖化の影響も懸念されています。こうした自然災害から国民の生命や財産を守るという国土交通省の重要な使命を果たしてまいります。 なお、今後の治水対策については、「できるだけダムにたよらない治水」への政策転換を進めるとの考えに基づき、「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」において昨年9月に公表された「中間とりまとめ」を踏まえ、全国の83事業(84施設)のダム事業の検証を、予断を持たずに進めてまいります。 また、公共インフラ及び住宅・建築物の耐震性向上を図るとともに、公共交通やエレベータ等の安全対策の充実を進めてまいります。公共交通における事故による被害者等への支援のあり方についても検討してまいります。 さらに、土地取引の円滑化及び土地資産の保全等を図るために、その基礎となる境界情報を調査する地籍調査について、一層の推進に努めてまいります。 我が国において海上の安全確保を一義的に担う海上保安庁を所管する国土交通大臣として、海上保安庁の制度や体制を十分に整備するとともに、現場の高い士気を維持していくための環境整備を進めていくことが私の重大な責務であると考えています。こうした観点から、巡視船艇等の重点整備や要員の拡充等により海上保安庁の体制の充実強化を図るとともに、昨年末に設置された「海上警察権のあり方に関する有識者会議」における議論を踏まえ、海上保安庁による海上警察権の検討を進めてまいります。また、国際連携の推進等によりソマリア周辺海域やマラッカ・シンガポール海峡における海賊対策等を図ってまいります。 <豊かな国民生活の実現> 人口減少、高齢化が進んでいく中、高齢者・障がい者をはじめ誰もが自立できるユニバーサル社会を実現することは、極めて重要な政策課題です。そのため、ハード・ソフト両面における一体的・総合的なバリアフリー施策を推進するとともに、国民生活に最も密着した基盤である住宅と地域交通を確保していくことが、今まで以上に重要になっていくものと考えております。バリアフリー施策については、新たな整備目標の設定をはじめ、関連施策の充実によりバリアフリー化の促進を図ってまいります。住宅については、医療・介護と連携したサービス付き高齢者向け住宅(仮称)の供給を促進するとともに、民間賃貸住宅入居者の居住の安定確保や既存住宅ストックの有効活用による、高齢者、障がい者、子育て世帯等の住宅セーフティネットの強化を図ってまいります。地域交通の確保については、交通基本法の検討と関連施策の充実を図ってまいります。 また、地球温暖化対策として、自動車単体対策、交通流対策、モーダルシフトや物流の効率化、公共交通の利用促進、住宅・建築物のまるごとエコ化、低炭素都市づくり等を推進してまいります。 さらに、物流コスト・物価を引き下げ、地域経済を活性化するため、地域経済への効果や渋滞、環境、他の交通機関への影響等を社会実験で検証しつつ、高速道路の原則無料化を段階的に進めてまいります。 <国土交通省成長戦略の実現> 我が国の国際競争力を高め、将来にわたって持続可能な国づくりを進めるために、国土交通省成長戦略の実現に取り組んでまいります。 海洋分野においては、民間の知恵と資金を活用した港湾経営の効率化や内航フィーダー網の強化などによる国際コンテナ・バルク戦略港湾の機能強化を図るとともに、海運・造船などの海事産業については、新たな造船政策や内航船代替建造対策の検討会を立ち上げるなど、その競争力の強化に一層強力に取り組んでまいります。また、排他的経済水域(EEZ)等の保全・利用の促進や海洋基盤情報の整備による海洋権益の確保を進めてまいります。さらに、国際的発言力の強化として、本年6月の国際海事機関(IMO)次期事務局長選挙に擁立した日本人候補(関水康司:現IMO海上安全部長)の当選を目指します。 航空分野においては、首都圏空港を含めた徹底的なオープンスカイの推進、羽田の24時間国際拠点空港化及び成田のアジアのハブ空港化の推進など首都圏空港の抜本的な機能強化を図るとともに、関空・伊丹の経営統合等により関空のバランスシートを改善し、関空を首都圏空港と並ぶ国際拠点空港として再生してまいります。また、国管理空港の運営のあり方について、「民間の知恵と資金」を活用するための具体的な検討を進めてまいります。さらに、平成23年度から25年度までの3年間を「集中改革期間」と位置づけ、我が国航空企業の国際競争力強化のため、平成23年度税制改正大綱において、航空機燃料税の税率引き下げを盛り込んだところです。日本航空については、更生計画に従って着実な再生が図られるよう、引き続き必要な支援を行うとともに、指導監督を行ってまいります。 住宅・都市分野においては、大都市の国際競争力の強化のため、都市再生特別措置法における特別の地域制度の創設と、各種支援措置の充実に向けた検討を進めるとともに、住宅市場の活性化のため、質の高い新築住宅の供給と既存住宅流通・リフォームの促進等を進めてまいります。また、昨年設置した「不動産投資市場戦略会議」での議論も踏まえながら、施策の具体化に取り組んでまいります。 国際展開・官民連携分野においては、鉄道システム、道路、自動車産業、水インフラ、港湾、環境共生型都市開発等、我が国の優れた建設・運輸産業の海外展開を促進するため、政治のリーダーシップによる官民一体となったトップセールスや日本の技術・規格の国際標準化等に力を注いでまいります。また、厳しい財政状況の中で民間資金の活用を拡大し、真に必要な社会資本整備・維持管理を着実に行っていくため、コンセッション方式(施設の所有権を移転せず、民間事業者にインフラの事業運営に関する権利を長期間にわたって付与する方式)の導入等PFI制度の拡充や、より幅広い官民連携による社会資本整備の取組を推進してまいります。 観光分野においては、海外プロモーションの充実等による「訪日外国人3,000万人プログラム」の展開、地域の幅広い関係者が参画する「観光地域づくりプラットフォーム」の形成や新しい観光アイテムの創造等による観光 地の魅力度向上を進めるとともに、休暇取得の分散化をはじめ休暇改革について、国民的なコンセンサス形成に向けて努力してまいります。 <経済・雇用情勢への対応> 現下の厳しい経済・雇用状況、直面する円高・デフレ状況を踏まえ、昨年9月、「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」、いわゆる「ステップ1」がとりまとめられ、国土交通省としては、住宅エコポイント制度や優良住宅取得支援制度(フラット35S)の大幅な金利引下げの延長、観光業や海運業における雇用創造・人材育成の推進、規制・制度改革等に取り組んでおります。また、「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」、いわゆる「ステップ2」に基づいて昨年11月に成立した補正予算等により、国土ミッシングリンクの解消、首都圏空港の強化、建設業に対する金融支援、海上保安体制の充実等の施策に取り組んでおり、引き続き、これらの対策に盛り込まれた施策の実効性を挙げるよう取り組んでまいります。また、「ステップ3」として位置づけられている平成23年度政府予算案において、国土交通省としては、既存の事業を抜本的に見直し、「国土交通省成長戦略」の実現をはじめ、真に必要な社会資本整備の着実な実施、地域の生活交通の確保・維持・改善、高速道路の原則無料化の推進、海上の安全と権益の確保、総合力の発揮、地域主権の確立に向けた取組といった確固たる戦略の下に大胆に予算を組み替えることにより、新たな時代に対応しながら、我が国を牽引する国土交通行政へと大きく転換することを目指します。 なお、特に疲弊している建設産業の現状を踏まえ、昨年末に「建設産業戦略会議」を設置したところであり、同会議での議論を踏まえて、今後の建設産業、特に地域建設業の再生方策の検討を進めてまいります。 以上、新しい年を迎えるにあたり、国土交通省の重要課題を申し述べました。国民の皆様のご理解をいただきながら、ご期待に応えることができるよう、諸課題に全力で取り組んでまいる所存です。 国民の皆様の一層のご支援、ご協力をお願いするとともに、新しい年が皆様方にとりまして希望に満ちた、大いなる発展の年になりますことを心よ祈念いたします。 国土交通大臣 馬淵 澄夫 |
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