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■帝人/中国にポリエステルのケミカルリサイクル事業の合弁会社を設立




2012年8月9日
中国における循環型リサイクルシステム構築に向けてポリエステルのケミカルリサイクル事業の合弁会社を設立


帝人株式会社(本社:大阪市中央区、社長:大八木 成男)は、このたび、中国でポリエステルのケミカルリサイクル事業を展開する合弁会社の設立を決定し、中国の有力企業である精工控股集団有限公司(本社:中国浙江省紹興市、董事長:方 朝?、以下「精工集団」)と合弁契約を締結しました。この取り組みは、本年3月に中国化学繊維工業協会*1(本部:中国北京市、会長:端 小平)と合意した、中国における相互発展を目指した相互連携プロジェクトの第一弾であり、環境経営に注力する有力企業である精工集団との共同により、中国において新たに循環型リサイクルシステムの構築を目指すものです。1.背景




(1)
帝人グループは、中国を中長期の成長戦略における重要市場の1つと位置づけており、現地企業との戦略的アライアンス、生産・開発拠点の拡大、環境ビジネスの推進などにより事業拡大を図ることにしています。

(2)
一方、中国政府は、第12次5カ年計画において「省エネ・環境保全」を戦略新興産業の1つと位置づけて重点的に推進しており、化学繊維工業においても「省エネ」「廃棄物削減」「循環型経済の構築」により持続可能な発展を目指しています。

(3)
中国ではリサイクルへの関心が高まっており、ペットボトルなどを粉砕、再溶融してポリエステル製品に戻すマテリアルリサイクルは、既に広く展開されています。しかし、マテリアルリサイクルでは染料、顔料、加工剤などの異素材を除去することができず、古着などは廃棄物として焼却するか、フェルト材などの限られた用途にしか再生できないため、石油資源の使用抑制や廃棄物削減のソリューションとして限界がありました。

(4)
こうした中、中国化学繊維工業協会は、帝人グループの世界最先端のケミカルリサイクル技術*2、およびポリエステルの循環型リサイクルシステム「エコサークル」*3の展開により培ったビジネスモデルの知見を活かすことにより、中国で焼却処分されている古着を回収・再利用する、中国独自の循環型リサイクルシステムを構築することに大きな期待を寄せています。

(5)
帝人と中国化学繊維工業協会は、今年3月に中国における化学繊維産業および関連産業の発展に向けて、相互に協力していくことに合意しており、帝人は、中国化繊協会が紹介する現地の有力企業と事業化を進めることとしています。このたびの取り組みはその第一弾となります。
2.合弁会社の概要







社名
浙江佳人新材料有限公司

所在地
中国 浙江省紹興市

設立時期
2012年9月(予定)

代表者
未定

資本金
5,000万USドル(出資比率:精工集団51%、帝人49%)

事業内容
ポリエステル製品のケミカルリサイクル、およびリサイクルポリエステル繊維の製造販売

生産能力
リサイクルDMT 年産20,000トンリサイクルポリエステル繊維 年産19,000トン

売上高
初年度100億円(予想)
3.合弁事業の概要




(1)
精工集団との共同出資により、中国最大規模の繊維製品産地である紹興市にケミカルリサイクル、およびリサイクルポリエステル繊維の製造販売を展開する合弁会社を設立し、海外では初めてとなるポリエステルのケミカルリサイクル設備を建設して、中国独自の循環型リサイクルシステムの構築を目指します。

(2)
合弁会社は、約60億円を投じてリサイクルDMT製造設備、重合設備、および製糸設備を設置し、ポリエステル繊維屑や使用済みのポリエステル製品などを原料とするケミカルリサイクルにより、石油から製造するのと全く同品質のテレフタル酸ジメチル(DMT)の製造、およびそれを原料とするポリエステルチップ、帝人グループのポリマー・紡糸技術を駆使した高付加価値ポリエステル繊維の製造販売を行います。

(3)
合弁会社のリサイクルによるDMT生産能力は、第1期として年産2万トンを予定しています。その後、需要拡大を見極めた上で、第2期として年産5万トンの増設を行い、年産7万トンの生産体制を構築する計画です。

(4)
今後、早急に中国での合弁会社設立の手続きを完了し、本年11月にはプラントの建設に着工、2013年度末の操業開始を計画しています。4.将来の展望



(1)
中国化学繊維工業協会、その下部組織でリサイクル事業を推進する化繊循環経済連盟、および紹興市などと連携しながら、紹興地区を中心とするケミカルリサイクルのサプライチェーンの整備やリサイクルシステムの制度設計を行い、中国独自の循環型リサイクルシステムの構築を推進していきます。

(2)
特に、現状では焼却処分されている古着などの使用済みポリエステル繊維製品について、回収およびリサイクルの仕組みを構築し、省エネや環境保全への貢献を図っていきます。

(3)
将来的には、中国化学繊維工業協会を通じて中国政府に循環型リサイクルシステム構築のための制度設計や法制化を働きかけながら、中国の他地域でのニーズを見極め、中国全土に循環型リサイクルビジネスを展開していく計画です。
*1中国化学繊維工業協会中国の化学繊維業界における唯一かつ最大の全国組織で、1993年に設立された非営利の業界団体。中国全土の関連企業・大学・研究機関など約400の会員で構成されている。*2ケミカルリサイクル技術ケミカルリサイクルは、ポリエステルを化学的に分子レベルまで分解して再利用するもので、帝人の工場においては、40年以上も前からポリエステル繊維屑のケミカルリサイクルが行われている。一方、ほとんどのポリエステル製品には染料や加工剤など、ポリエステル以外の異素材が含まれているため、高度な除去技術が要求され、大きな問題として実用化を阻んでいた。こうした中、帝人ファイバーは2000年に、ポリエステル製品から異素材を効率的に除去し、化学的に分子レベルまで分解して、石油から製造する原料と全く同品質のDMTまで戻すケミカルリサイクルの実用化技術を世界で初めて確立した。従来のリサイクルの課題であった品質劣化を回避でき、何度でも繰り返しリサイクルできるため、石油資源の使用を抑え、廃棄物を削減することができ、石油からポリエステル原料を製造する場合に比べ、エネルギー消費量、CO2排出量ともに大幅に削減することができる。*3「エコサークル」帝人グループが世界で初めて開発した、ポリエステルのケミカルリサイクル技術を核とした循環型リサイクルシステム。2002年から本格展開し、現在、賛同する国内外のアパレルメーカーやスポーツメーカーなどと共同で、商品の開発およびその回収・リサイクルを進めている。企業のユニフォームをはじめ、学校体育衣料、インテリア、産業資材などから取り組みを開始した「エコサークル」の展開は、2005年に米国のアウトドアアパレルであるパタゴニア社が海外企業として初めてメンバーに加わったのを契機として、アウトドアウェアやスポーツウェアにも展開が拡大した。その後もエコバッグやファッションアパレル、病院用カーテンなど、多様な分野に展開が拡大するとともに、英国マリンアパレル大手のヘンリーロイドや、中国スポーツアパレル最大手の李寧が展開を開始するなど、海外企業との取り組みも着実に進み、この10年間でメンバー企業は150社以上に及んでいる。


■参考精工控股集団有限公司について
精工控股集団は、鋼鉄構造建築、新型建材、不動産開発、ハイテク繊維、金融産業、エネルギー、および投資などの6大産業を主産業とする、多様で多国籍の総合集団企業。集団の資産は約150億人民元(約1,950億円)、社員数は約1万人、2011年の集団総収入は130億人民元で、浙江、上海、北京、安徽などの地域に10社の子会社を有する。また、「中国民営企業500強」「中国製造企業500強」「全国浙江商人100強」に名を連ねる企業である。子会社である精工科学技術と長江精工企業は上場企業であり、会稽山紹興酒会社もまもなく上場する予定。同じく子会社である鋼鉄構造企業は、2008年北京オリンピックの「鳥の巣」、上海環球金融センター、広州テレビタワー、北京首都空港など、中国国内の重大プロジェクトを担当した実績がある。
 
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