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■ラサール インベストメント マネージメント/「2011年の世界の不動産投資戦略」に関する調査レポートを発表
ラサール インベストメント マネージメント
「2011年の世界の不動産投資戦略」に関する調査レポートを発表
−地域に成長格差が顕在化、投資先市場毎の戦略の見直しが要−
 
2011年の不動産市場は、速さの異なる景気回復と急速に変化する資本市場により、投資家にとって舵取りの難しい環境になるでしょう。ラサールインベストメント マネージメント(本社:米国イリノイ州シカゴ、最高経営責任者(CEO): ジェフ・ジェイコブソン、以下「ラサール」)は、2011年の世界の不動産投資戦略の見通しをまとめた調査レポート「不動産投資戦略」(17回目)をこのほど発表しました。
2010年の不動産市場を振り返ってみると、いくつか顕著なトレンドがみられました。「超コア(主要不動産市場の安定稼動優良物件)」不動産の価格が急速に回復したこと、欧州、米国、アジア太平洋の3つの地域において不動産取引件数が増加したこと、そして、特筆すべきは投資家にとって不動産市場のファンダメンタルズ(稼働率、賃料、需給など)が改善したことです。欧州や北米でもやや改善がみられ、豪州、香港、シンガポール、中国では大幅な改善となりました。
2011年の不動産投資を展望するにあたり、不動産投資家は速さの異なる市場の回復がもたらす試練に立ち向かう準備をする必要があると考えます。つまり、世界金融危機の余波が続くなか、投資家は、投資する不動産市場に合わせて異なる戦略を取らねばなりません。例えば、アジア太平洋圏では、開発およびリーシングが最良の投資機会をもたらし、英国、フランス、米国市場では、コア的物件が魅力を増すでしょう。また、日本、メキシコ、米国、英国およびドイツでは、ディストレス案件への投資機会を狙うべきでしょう。
ラサールのグローバル ストラテジスト、ジャック・ゴードンはレポートについて次のように述べています:
「今後成熟の余地のある市場に大量に資金が流入することから、 高成長の新興国市場では投資パフォーマンスが大きく変動するでしょう。最も成功する可能性が高いのは、急速な都市化と台頭する中流層を狙うグロース戦略です。欧州、米国、日本等の低成長市場でも、弱い景気回復とは裏腹に、低金利とデットおよびエクイティ資金の流入増加から投資パフォーマンスは向上すると見込まれます」
マクロ経済の信号を正確に受信することは極めて難しく、このことからバランスの取れた、規律あるポートフォリオ投資アプローチの重要性が改めて浮き彫りになっています。
また、レポートの共著者、ラサールの欧州地域 投資戦略・リサーチ部統括、ロビン・グッドチャイルドは以下のようにコメントしています。
「ポートフォリオマネジャーは、2011年にはリーシング、リファイナンス、および物件売却に関して、より積極的な対応を取る用意をしておくべきです。不動産売買案件数が回復し、増加するにつれて、投資家は数年ぶりに、より積極的な運用を通じてポートフォリオのリポジショニングを達成することができるでしょう」
市場ごとに投資機会は様々ですが、ラサールは、投資家が検討すべき今年のグローバルな投資テーマを予想してみました:
 
 
・銀行から発生する不動産売買案件数は増加し続けるでしょう。
・コア不動産の出口戦略の実行がしやすくなります。
・投資家は、要求リターンを達成するためには、投資対象を世界的な主要都市にある長期賃貸借契 約付きのAクラス物件以外にも広げる必要があります。
・メザニンデットは、引き続き希少で割高ですが、そのニーズは更に高まります。
2011年、投資家は更なるサプライズの発生に備えておくべきであるとラサールは見ています。ラサールでは、次の動向を注視しています:
・世界的な不均衡と国際通貨戦争
・不動産税制
・中国系機関投資家の台頭
・会社レベルのディストレス案件
・中断した開発プロジェクトの再開−などです。
当レポートでは、世界で起こりつつある構造的シフトに関するラサールの見解を示しています。その一つがエネルギー効率性や、建物の環境適合性(サステナビリティ)です。これは長年の間に積み上がってきた課題ですが、ラサールでは、今、この問題を無視することは投資家にとってリスクがあると考えています。
ラサールの北米地域 投資戦略・リサーチ部統括、ビル・マーは以下のように語っています。
「今日、不動産投資で成功するには、今だけでなく将来のキャッシュフローに影響を及ぼすエネルギー効率性、環境適合性などの要因を予想することが大切です。ラサールの調査によると、欧州の投資家は、運用会社の選択にあたって、この問題を最重要視していることが判明しました。一方、米国の年金基金がこの問題を重要視することは稀ですが、今後は運用会社の実績結果が出てくるのに伴い、このような見方も変わっていくでしょう」
 
<地域別の投資展望>
経済回復が異なる速さで進行する結果、日本、ユーロ圏、英国、米国における不動産市場が均衡水準に回復するスピードは遅く、相当な時間を要するでしょう。一方、そのすぐ後に続く先進国(特に、オーストラリア、香港、シンガポール)や最大の新興国である中国、インド、ブラジルでは、より大きなテナント需要が見られるでしょう。G7諸国では、低金利により、フル稼働のAクラス物件の価格が上昇しています。
ラサールのグローバル ストラテジスト、ジャック・ゴードンは以下のように述べています。
「「Low-Low-Low」レート(金利、不動産利回り、賃料成長率)と高い不動産投資スプレッドの組み合わせが継続する限り、投資家は不動産というシクリカルな資産クラス(ただし、他の資産との相関性は低い)の保有に対して、適正水準以上のリターンを得られるという見方をすることができます。新興国市場および先進国市場の豪州、香港、シンガポールでは、投資家は、リーシング(賃貸活動)と不動産開発を通じて優れた投資利回りを達成することができるでしょう」
 
<欧州>
ラサールの欧州地域 投資戦略・リサーチ部シニアストラテジスト、アリステア・シートンは以下のように述べています。
「欧州の経済見通しは引き続き市場によりまちまちですが、ギリシャの支払い能力への懸念については過度であったことが明らかになってきました。しかしながら、ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペイン財政の脆弱さは、今後もユーロ圏が現在の体制のまま存続できるかどうかの懸念を煽る材料となるでしょう。単一通貨を目指した当初の意図にもかかわらず、欧州は現在も同質的な地域にはなっていません。この多様性は投資家にとっての投資機会にはなりますが、経済が停滞していることから、簡単に儲かる投資対象はほとんど見つからないでしょう。最大の難問は、意図しない、または管理できないリスクを取らずに、低成長環境で投資を実行することです」
今後2、3年の間、欧州のコア不動産投資家は、経済および不動産市場の成長がほとんど期待できないため、安定収益物件を主なターゲットとすべきです。リスクがプライシングに十分織り込まれるまで安定収益のない資産は避けるべきで、ラサールでは2011年に少しずつ不動産価格の評価にリスクが織り込まれるものと見ています。最良の投資機会は、英国、フランス、ドイツの3大市場にあります。これらの国は、欧州で最も成熟した、透明性と流動性の高い不動産市場であり、良好かつ信頼できる投資環境を提供しています。また、ポーランドは、力強い経済成長と大規模な国内市場を持つ魅力的な投資対象ですが、他の中央、東ヨーロッパの国への投資には慎重になるべきでしょう。市場環境次第では、全ての不動産セクターが投資対象として検討可能ですが、ラサールは、長期的な成長と安定収益が期待できる小売商業施設セクターのオーバーウェイトを推奨します。
欧州主要市場の中では、以下を主な投資ターゲットとして推奨いたします:
英国: 小売商業施設およびロンドン中心部のオフィス。ポートフォリオにおいては、英国南東部以外の地域についてはアンダーウェイトとすべき(特にオフィス)
フランス:オフィス、小売商業施設、物流施設
ドイツ:小売商業施設、物流施設
高リターンを追求する投資家は、銀行による不動産エクスポージャー縮小の動きをターゲットとすべきでしょう。欧州全体で、推定1,150億ユーロのデット資金ギャップが存在するため、最終的には大量の在庫物件が処分されるものと予想されます。これらの物件の大部分は英国とスペインにあり、続いてドイツとフランスに多くなっています。LTV65%を超えるデットはほとんど調達できない現在の状況下で最も妙味のある投資戦略は、おそらくメザニンファイナンスの提供でしょう。このようなメザニンファイナンス投資によって、質の高い不動産を裏付けとした魅力的な投資利回りを獲得することが可能となります。
ただし、今後12ヶ月間でテナント需要が伸びるため、デット投資の機会は時間的に限られてくるでしょう。2011年後半に賃貸市場が改善するのに伴い、投資家は、コア物件を求める投資資金同士の競合を避けるために、リスク許容度を上げ始めるべきでしょう。ファンダメンタルズの弱さからこれを実行することは引き続き容易ではありませんが、過去2年間に比べて状況は改善しつつあります。
 
<北米>
ラサールの米国地域 投資戦略・リサーチ部統括、ウィリアム・マーは以下のように述べています。 
「2011年の米国市場は、雇用の伸びが加速し、空室率が低下するでしょう。また、デットやエクイティ資金が安定的に流入する見込みです。米国では、投資家のリスク許容度が再び高まり、バリューアッドとオポチュニティ投資が活発化するでしょう。また、コア不動産投資は、債券投資と比較して利回りが相対的に魅力的であることから、最も改善の兆候がみられます。加えて、デットとエクイティ調達が容易になることから、2011年末までに、取引高も1500-2000億ドルの通常水準まで戻るものと予想されます」
2011年の北米における最も魅力的なコア投資機会は、テクノロジー、ヘルスケア、娯楽などの、全国平均を上回る経済セクターの恩恵を受ける投資または蓄積した潜在的賃貸需要を活用することができる投資案件となるでしょう。
米国で最も高リターンが期待できる投資機会は、最近(特に2005 - 2007年)まで過度なレバレッジがかけられていた不動産投資案件になるでしょう。現在までのところ、魅力的な投資機会となったディストレス案件は、(債権、物件のいずれも)ほとんどありませんでした。2011年には、銀行とスペシャルサービサーが、これ以上処分を遅らせた場合には経済成長が遅れるリスクや金利上昇リスクに直面する可能性があることを認識し、この状況は変化するものと予想されます。
米国のオフィス投資家にとって、オフィスセクターの最も安全なコア物件投資機会は引き続きニューヨーク市、ワシントンDC、ボストンといった大規模で流動性の高い市場が中心となりますが、過去数年間に亘って投資に二の足を踏んでいた、知的産業の集約した二次的市場(例:ミネアポリス、ポートランド、デンバー、フィラデルフィア等)の最良の物件に投資することで、より高いリターンを得ることができるはずです。
北米全体では、産業用不動産コア投資の最も魅力的な機会は、全国的な流通ハブ(ロサンゼルス、トロント、シカゴなど)に存在します。平均を上回るリターンが期待できる案件は、シアトル、ヒューストン、バンクーバーのような二次的港湾都市にある可能性が高いでしょう。メキシコでは、国内需要と製造業の拡大が見込まれる中央メキシコやモントレーで、産業用不動産のビルト・トゥ・スーツ型開発から魅力的な投資リターンが期待できるでしょう。
コア賃貸マンションのファンダメンタルズは、新規供給が限定的な沿岸部市場で堅調ですが、価格が非常に割高なため、財務レバレッジの低いコア投資家には不利となる可能性があります。それでもなお、賃貸マンションの長期的なファンダメンタルズは底堅いため、投資家は、この不動産セクターについて少なくともマーケットウェイトを維持すべきでしょう。賃貸マンションは2011年の開発リターンに妙味が期待できる唯一の不動産セクターです。
消費支出の見通しが弱含みであるにもかかわらず、小売商業施設セクターでの魅力的な投資機会は北米3カ国のいずれにも存在します。米国とカナダでは、テナントが消費支出低迷の影響を受けにくい日用品を中心としたショッピングセンターであるため、安定的な運用とインカムが期待できるでしょう。メキシコでは、中流層の増加と近代的なショッピングセンター不足を背景に、食料品ショッピングセンターのビルト・トゥ・スーツ型開発が高い投資リターンを期待できる戦略となります。
 
<アジア太平洋圏>
ラサールのアジア太平洋地域 投資戦略・リサーチ部統括、ケネス・ヅァンは以下のように述べています。
「アジア太平洋圏は、不動産証券投資と不動産直接投資の両方において、2011年も引き続き幅広い投資機会を提供するでしょう。域内の大手産業用不動産デベロッパーと中国のデベロッパーの多くがIPOを行うことにより、上場セクターで投資可能なユニバースの拡大が見込まれます。日本では物件価格の下落によって資本構成に大きなギャップが発生しているため、不動産デット投資の機会が増大すると予想されます。開発向けファイナンスの不足から、実績があり、銀行と親密な関係を維持する運用会社には投資機会が増大するでしょう。この地域内には、割安、回復、および成長市場が混在しており、コアとオポチュニティ投資家に多様な投資領域を提供しています」
アジア太平洋圏における2011年の最良の投資機会は、以下の通りです:
日本:推奨戦略としては、優良な商用不動産を割安な価格かつデット調達コストに通常より高いスプレッドをのせた利回りで購入、近代的な物流施設の開発物件、郊外型小売商業施設(消費者の嗜好がコストパフォーマンスの高い小売アウトレットにシフトしているため)への投資などが挙げられます。
香港とシンガポール:オフィスセクターの力強い循環的回復により賃料が割安である間に需要が回復しているため、既存のオフィス物件はその恩恵を受けられます。既存オフィスや小売商業物件のリポジショニングとバリューアッド投資により、魅力的なリスク調整後リターンが得らます。
オーストラリアとシンガポール:オーストラリア(新規供給が限定的な都市)とシンガポールのホテルは、営業収益が急速に改善しているため魅力的です。
中国:最良の投資機会は、中国の準大都市の住宅用不動産開発への選別的投資です。そのためには、実績のあるデベロッパーが開発する高品質プロジェクトをターゲットとして行うべきです。中国国内のコア投資家は、大都市や発展が進む準大都市において長期的な需要が好調であると同時に流動性も増大しつつあることから、これらの都市の高品質のオフィスと小売商業物件への選別的投資を検討すべきでしょう。
日本とオーストラリア:日本とオーストラリアのCMBS市場や銀行ポートフォリオにおいて資金ギャップが増大するものと予想されるため、これらに対する救済的投資とブリッジファイナンスが有望です。
 
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ラサールインベストメントマネージメントについて
ラサール インベストメント マネージメントは、世界最大の総合不動産サービス企業であるジョーンズラングラサール グループ(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)傘下にある、世界有数の不動産投資顧問会社です。世界規模で、私募、公募の不動産投資活動をしており、総運用資産残高は約450億ドルです(2010年12月末現在)。私募、公募、デット、エクイティのあらゆる不動産投資活動を世界中の不動産キャピタルマーケット、オペレーティングマーケットで展開しています。主要顧客は、世界の公的年金基金、企業年金基金、保険会社、政府、その他基金(大学基金など)、個人投資家などです。
 
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