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日本郵船/求められる「技術力」攻めの戦略でさらなる飛躍へ、第129回創業記念式典で社長があいさつ

求められる「技術力」攻めの戦略でさらなる飛躍へ
-第129回創業記念式典で社長があいさつ-

2014年10月2日

当社の第129回創業記念式典が10月2日、東京都千代田区の本店15階ホールで開催され、社長の工藤泰三は次のようにあいさつしました。
 
129回目の創業記念日にあたり、一言ごあいさついたしたいと思いますが、本年度から5カ年の新中期経営計画"More Than Shipping 2018"(以下、新中期経営計画)がスタートしましたので、今回はその業績目標に若干比重を置きつつ、お話しいたします。
「業績と取り巻く環境」
 
経常損益で2011年度に▲332億円の赤字を計上した後、2012年度、2013年度はおのおの、180億円弱、580億円強の黒字となり、また本年度も現在、通期で650億円の経常利益を見込んでおり、やっと黒字が定着してきました。リーマン・ショック、その後の欧州経済危機、東日本大震災、タイの大洪水と、われわれの事業は大変な試練を経験しましたが、皆さんの努力により、ようやくこの状況まで回復できました。あらためて感謝します。しかしながら、回復の度合いを見ますと、他の産業に比較して、われわれのそれは遺憾ながら今一歩と言わざるを得ません。
 
皆さんは、新聞などで、PBRというものを目にしたことがあると思います。PBRとは、株価純資産倍率のことで、株価がその会社の1株当たり純資産の何倍かを示した指標です。これが1を割り込むということは、その会社が低く評価されているわけです。残念ながら、現在当社のPBRは0.7で1を下回っております。その原因はいろいろ考えられますが、投資家の皆さんが、当社の黒字定着化には、依然、懐疑的であったり、あるいは利益水準に満足していないからだと思われます。
 
皆さんは、同じくROEというものもよく目にされると思います。これは、自己資本当期利益率のことで、8%が一つの目安であるという見方があります。当社の2013年度の当期純利益は330億円で、ROEは4.8%でした。また、本年度の当期純利益も、現在のところ350億円程度の見込みですので、ROEに換算すると5%弱であり、8%からはかなり見劣りする状況です。
 
 
「新中期経営計画MTS2018」
 
この状況を打開すべく、本年度からスタートした新中期経営計画MTS2018では、2016年度の経常利益を1,200億円、当期利益は800億円とし、ROEを9%に、また2018年度には、経常利益、当期純利益はおのおの1,600億円と1,200億円としROEを12%にする目標を設定しました。一見、高い目標に思われるかもしれませんが、2013年度の経常利益580億円強の内訳を分析すると、さほど背伸びをした目標でないことがお分かりいただけると思います。すなわち、ターミナル、物流、ドライおよびVLCC、LNG、海洋事業を含むリキッドの長期契約投入船、自動車専用船、自動車物流、不動産などの、いわゆる、運賃安定型事業の利益が既に約1,100億円に達している一方で、コンテナ船、航空運送、ドライおよびリキッドのフリー船など、運賃非安定型事業の赤字600億円弱が全体のレベルを押し下げた格好となっています。従って、運賃非安定型事業の収支さえ改善できれば、2016年度の経常利益1,200億円は、難しい目標ではありませんし、2018年度の1,600億円も、LNG船、および、ウィートストーンやキャメロンなどLNG関連の上流・中流の新規案件、海洋事業、自動車物流事業などを予定通りに稼働、あるいは拡大できれば、十分達成可能な目標です。
 
「今後の戦略」
 
まず運賃非安定型事業の収支改善に関してですが、問題視されてきたケープサイズバルカー事業のフリー船は、長年苦しめられてきた高コストの中期用船の大半が本年度中に返船を終え、来年度以降は4~5隻を残すのみとなります。さらに、これらの船も2017年度中に一掃されますので、収支改善が着実に進行します。皆さんに誤解がないように申し上げておきますが、フリー船を持つことが全て悪いわけではありません。お客さまの荷動きには当然変動があるわけで、荷動きが急増する場合も多々あります。その場合、フリー船を持っていなければ、その需要に対応できないこともありますので、一定数のフリー船は必要なのです。問題は、フリー船の規模と何といってもそのコストです。今後は、今回学んだ教訓を十分に生かし、フリー船の規模や、長期・短期といった保有形態のポートフォリオに配慮せねばなりません。
 
最近、世界的な過剰流動性が投資ファンドの投機的な船舶発注に拍車を掛けており、今後は需要動向に関わらず、基本的に船腹の供給過剰が常態化するものと想定されますので、従前より短期用船を多用した船隊構成にすべきだと考えます。いずれにせよ、ケープサイズバルカー部門の本来の事業モデルは、鉄鉱石などを対象とした専用船事業として、資本コストをカバーし、安定した利益を計上するべきものであり、そのモデルに早く復帰しなければなりません。幸い中国、インドなどで、長期契約も順調に積み上がりつつありますので、高コスト用船の返船とともに、本来の事業モデル復帰のめどが付いてきたといえます。 また、石炭を主要な対象貨物とするパナマックスバルカーも抱える課題はケープサイズバルカーと同じであり、本来あるべき姿への早期復帰が望まれます。 
 
ケープサイズ、パナマックス、それに、ハンディサイズ、チップ船などを加えたドライバルク船隊は当社の運航船隊900隻弱の半分を占める最大部門ですので、収益安定化に対するこの部門の責任は重大です。
 
一方で、運賃非安定型事業からの脱却という点で、今回、特筆したいのが、定期船事業の取り組みです。ターミナル事業込みとはいえ、2011年度の▲370億円という巨額な赤字が、2012年度は▲25億円、2013年度は▲7億円へとほぼ収支均衡レベルまで改善してきました。 特に2013年度は欧米向け平均運賃が、2011年度よりも下回っていたにもかかわらず、この2年間で収支は400億円近くの大幅な改善を達成し、また2012年度比較でも、運賃が悪化した状況下での改善ですので、大変な評価に値します。本年度も、運賃は欧州でほぼ前年並み、北米向けは若干の悪化を予想していますが、現在、通期で黒字転換を見込んでいます。これも「IBISプロジェクト※1」「EAGLEプロジェクト※2」ほか、地道な3M(ムダ・ムラ・ムリ)解消活動によるコスト削減推進のたまものといえます。
 
さらに、超大型・省エネの1万4,000個型新造船が、既存船の代替として2016年に4隻、2017年にさらに4隻、合計8隻投入されますが、これによる、コスト削減効果が年間200億円強見込めます。現在、ごく一部のコンテナオペレーターのみが黒字を計上し、大半のオペレーターは、依然赤字にあえいでいる状態にあるため、今後運賃の下落は限定的だと考えられますので、2016年度以降、当社のコンテナ船事業の安定した利益計上が視野に入ってきました。
 
「問われる「技術力」」
 
今回の中期経営計画は、「他社との差別化」、「コスト競争力の強化」、「事業拡大」のキーワードを"More Than Shipping"に求めた前回の中期経営計画を基本的には踏襲したものですが、とりわけ3M解消力も含めた広義の意味での「技術力」という点に一層フォーカスした"More Than Shipping"を追求しようというものです。
  
IT、ビッグデータ、最新の省エネ技術を駆使した、「IBISプロジェクト」「EAGLEプロジェクト」の深度化、「超大型最新省エネ船」投入など、コンテナ船事業の収支改善活動は今回の中計が目指す最適なサンプルであり、この好事例をドライ、リキッド、自動車船、物流といった他の事業部門や、さらにはコーポレート部門にも横展開していくことが、今回の大きなテーマの一つだと考えており、皆さんのNYKグループバリュー「誠意・創意・熱意」に大いに期待しています。
 
次に、拡大部門についてです。この分野は、文字通り"More Than Shipping"の領域で、しかも高い技術力が求められる分野です。既に触れましたが、ウィートストーン(オーストラリア)のガス田権益の一部取得および共有設備の操業というLNG関連の上流事業に参画を果たし、2016年の年末より操業開始の予定です。また、ルイジアナ州(米国)でシェールガスの液化設備の建設および運営を行うキャメロンLNGプロジェクトという中流事業にも参画を決定し、2017年の年末からの操業が予定されています。これら事業は高度な技術や安全性が求められる他、投資規模が大変高額となりますので、当然、長期的な高リターンが期待できると同時に、LNG船事業の拡大にも大きく貢献してくれています。
 
海洋事業関連では、SBM Offshore社(オランダ)ほかと共同でPETROBRAS社(ブラジル)向けにFPSO※32基を追加で成約、2015年度末より稼働を開始しますし、シャトルタンカーの、Knutsen NYK Offshore Tankers社は2016年の年末稼働予定のTotal社(フランス)向け、FSO※4事業を初めて成約しました。なお、FPSO、FSOなどの事業には、デッキオフィサー、エンジニア他、当社グループの技術部門の人材派遣を決めており、プラント・エンジニアリングの設計・調達・建設といったいわゆるEPC※5に直接関与することで、知見、ノウハウの習得に努め、FSRU※6、FLNG※7といった将来の新規事業参画の礎にしたいと考えています。
 
さらに、GDFSUEZ社(フランス)ほかと共同で、船舶用LNG燃料販売会社設立と同時に、2016年後半に竣工予定となる世界初の大型LNG燃料供給船の建造を決定しました。 欧州地域はもちろん、世界中で、今後、NO、SO規制がいよいよ厳格化される中、LNG燃料の需要急拡大が見込まれますので、これは将来有望な世界初となる新ビジネスモデルといえます。この事業立ち上げには、欧州域内の完成車輸送事業を手掛ける当社グループのUnited European Car Carriers社(ノルウェー)が、LNGを燃料とする自動車専用船2隻の建造と、LNG燃料販売会社からのLNG燃料購入を決定したことが大きく貢献しました。それと同時に、この2隻の自動車専用船は当社グループにとっては初めての、また、世界の海運業界においてもいまだ数少ないLNG燃料船となりますので、他社に先駆けて、知見を高め、環境面およびコスト面での差別化を図る技術の一つにしたいと考えています。
 
さらに、自動車関連では、当社グループが長年にわたり、研究開発してきた電子無線タグ(Radio Frequency Identification)を活用した完成車の蔵置位置・在庫管理システムの素晴らしさについて認知が広がり、自動車ターミナルなど自動車物流事業の拡大で大変な成果を挙げ始めています。
 
1 IBISプロジェクト:Innovative Bunker and Idle-time Saving (最適経済運航)
2 EAGLEプロジェクト:EQC Aspiration for Global Efficiency (コンテナ運用最適化)
3 FPSO:Floating Production, Storage and Offloading system、浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備
4 FSO:Floating Storage and Offloading system、浮体式海洋石油・ガス貯蔵積出設備
5 EPC:FPSO、FSOなどの海洋石油・ガス生産設備をEngineering(設計)からProcurement(資材調達)、Construction(建造)まで一括して石油開発会社に提供すること
6 FSRU:Floating Storage and Regasification Unit、浮体式LNG貯蔵再ガス化設備
7 FLNG:Floating Liquefied Natural Gas、洋上におけるLNGの液化設備および再ガス化設備
 
「結び」
 
以上、いろいろと述べてきましたが、今回の中期経営計画を再度簡単にまとめますと、現場から本社管理部門に至るまで、海技、エンジニアリング、物流技術、情報技術のみならず、3M解消、改善などの創意工夫までを含めたわれわれの広義の技術力を最大限発揮し、まず、当社船隊の大半を占めるドライおよびコンテナ船事業を本来あるべき安定収益部門に復帰させる一方で、今後成長が見込まれる海洋事業、LNG船およびLNG関連事業などでさらに安定利益を着実に積み上げ、株主の皆さまの期待する利益水準に到達しようというものです。ただ、そうした目標以前に、われわれが携わる物流事業は世界経済の大動脈として必要不可欠なインフラであり、その社会的責任は大変重く、会社業績の安定化は重要な責務とも言えます。その意味からも、業績目標達成に向け、グループ一丸となって「誠意・創意・熱意」を尽くし頑張っていきましょう。
 
本日のあいさつを終わる前に、コンプライアンス関連に、あらためて、触れさせていただきます。 当社は、本年3月、自動車船事業における独占禁止法(独禁法)違反の嫌疑により、遺憾ながら、日本の公正取引委員会から排除措置命令書及び課徴金納付命令書を受領しました。欧米当局による調査は、現在も継続中であり、引き続き全面的に協力しています。これまで繰り返し述べてきたように、私たちは、このような事態になったことを、極めて重く受け止め、再発防止に取り組んでいかなければなりません。そのために、独禁法の研修をはじめ、独禁法遵守の誓約書、独禁法に関するリスクアセスメントなどを、国内外のグループ全体に順次展開しています。
 
これらはいずれも、皆さん一人ひとりが、安心して日常業務にまい進するための重要な活動であり、われわれNYKグループ社員が一丸となって、当事者意識を強く持ち取り組んでいきましょう。
 
最後に、全てのグループ社員の皆さんとご家族のご健康、ご多幸を心より祈念して、私からのあいさつといたします。
 
以上
掲載されている情報は、発表日現在のものです。
その後、予告なしに変更される場合がございますので、あらかじめご了承ください。