ネット通販を支える物流アウトソーシングの旗手
顧客の問題解決から出発した事業には成長性がある。中堅倉庫業者・光輝物流の二代目である角井亮一が昨年2月、創業したイー・ロジットからは、そうした勢いを感じる。
角井が注目したのは、事業は始めたものの、物流コストに苦しむインターネット通販業者だった。もともとネット通販の商材は雑貨や衣料品など単価の低いものが多いことに加え、発送先の数も多い。そのため売上高に占める、入出荷や在庫管理、配送などを合わせた一連の物流コストの比率は、平均で6割にも達する。
ではそうした業務を一括して受託することでスケールメリットを引き出し、1社ごとの物流コストを圧縮できればビジネスになる。角井はそう考えた。それは全国に倉庫を持つ光輝物流のインフラ活用にもなる。
仕組みは一見、単純に見える。まずネット通販業者が注文を受け与信などを終えた段階で、イー・ロジットにデータが転送される。するとイー・ロジットでは商品集荷・配送ルートや時間、価格から自動的に最適な運送業者を選び、実際の集荷・配送を手配するというものだ。
いわば物流ブローカーとも呼ぶべき役割だが、これまでに最大で何と60%もの物流コストを削減するといった実績を積み重ねてきた。その結果、創業1年で実に市場全体の1割と見られる約3000社もの顧客を開拓、初年度年商は10億円を見込む。さらに角井は「次年度年商は100億円。2002年にはナスダック・ジャパン上場を実現し、将来は4割程度のシェア獲得を目指す」と気炎を上げる。ただ、これだけの快進撃にもかかわらず、追随する企業は現れていない。それは単純にも見えるが、「地べたでなければ、組み立てられないシステム」を、根幹に据えている表れだといえる。
角井は光輝物流時代には日本で初めて、コスト削減実績をもとに報酬を決めるゲインシェアリング契約を導入し、成功に導いた人物として、その名を業界で知らしめた。つまり角井は、物流業界におけるコンサルティング事業の草分け的存在であり、その経験がイー・ロジットのシステムにも集約されているのだ。
そして昨年7月には、人材派遣のフルキャストや、関東圏に地盤を持つ日本アウトソーシング、そしてソフト開発のエグゼ、SIのフルキャスト・システムコンサルティングと「チーム・ロジスケープ」を結成し、共同で顧客の物流改革を進める請負事業を本格始動させている。また今年2月には三菱商事と業務・資本提携し、従来のBtoC(個人向けビジネス)に加え、BtoB(企業向けビジネス)や国際物流にも、事業を展開するための布石を打った。
「幹をどこまで太くできるかで、どれだけ枝を増やせるかが決まる。地道にオンリーワン企業を目指しますよ」。そう角井は笑う。が、その視線の先には、「企業が経営資源をコアコンピタンスに集中し、スピードを上げようとすれば、必ず物流部門をアウトソーシングするようになる。そしてその際、物流部門の効率化は、企業の盛衰を決定づける要としてクローズアップされる」という確固とした信念がある。角井が目指すイー・ロジットの将来像とは、そうした企業のニーズを吸い上げる”戦略物流”の提案型企業にほかならない。角井は今、まさに、物流業界の台風の目にもなりつつある。






