YRPユビキタス・ネットワーキング研究所/ユビキタスID技術をベースとした2技術規格が国際標準へ
ユビキタスID技術をベースとした技術規格が、ITU-T勧告として国際標準の合意へ
YRPユビキタス・ネットワーキング研究所(東京都品川区、所長:坂村健・東京大学教授、以下:UNL)では、2005年より、ITU-T(国際電気通信連合・電気通信標準化部門、本部:スイス・ジュネーブ)(注1)において、UNLの成果を国際標準化する活動を進めてまいりましたが、この度、これまでUNLから提案してきた二つの規格F.MID、H.MID(注2)が、今回のITU-T Study Group 16会合(期間:2008年4月22日〜5月1日、場所:スイス・ジュネーブ ITU本部)において、ITU-T勧告(ITU-T Recommendation)として合意(Consent)する見込みとなりました。これは、電子タグ等を使って、ネットワークを介した情報サービスを行う、ネットワーク型情報サービスに関する基盤技術として初めての国際標準です。
F.MIDは、RFID等のタグ情報の読み込みをきっかけとして提供されるネットワーク型の複合メディア情報サービスに関する要求要件事項に関する勧告です。また、H.MIDは、それを実現するためのアーキテクチャを定めた勧告案で、UNLが開発したユビキタスIDアーキテクチャをベースとしています。今までの、電子タグの主要な応用である物流だけでなく、食品トレーサビリティや場所依存型情報サービス、自律移動支援サービスといった、幅広い応用に適用することができます。
今回の標準化は、単に日本の要素技術が国際標準に取り入れられたというだけでなく、ITUの中でユビキタス分野の標準化活動を提案し、エディタ職として議論をリードし続け、要求要件項目やアーキテクチャという、国際標準化活動の土台を確立したことの意義が大きいと考えています。なお、UNLでは本件についてはすべての情報を公開することで標準化へ寄与する活動を進めており、本規格についての特許は取得しておりません。今回提案した両規格が国際標準になることで、今後、この枠組みの中に、日本だけでなく、世界各国の技術を取り入れながら、ユビキタスID技術の世界的な普及を目指してまいります。
今後、Study Group 16会合の後、早期に成立できる承認プロセスである、代替承認手続き(AAP:Alternative Approval Process)によって、ITU-T参加メンバー全体の承認プロセスに入り、他メンバーからの反対提案がなければ、ITU-T勧告として成立します。また、今後、更に詳細な技術の国際標準化も進められており、今回のStudy Group 16会合でH.IDschemeとH.IPRという2つの新規の標準化作業項目(注3)が承認される予定です。H.IDschemeは、ucodeを含んだIDコード体系の国際標準です。H.IPRは、ucode解決サーバーの規格を含んだ国際標準です。双方ともUNLがエディタ職を務めて、今後さらに多くの技術項目の国際標準化を進めていく予定です。
(注1)
ITUは、International Telecommunication Union(国際電気通信連合)の略で、国際連合の専門機関の一つである。電気通信分野と無線通信分野における各国間の標準や規制を確立することを目的としている。ITUは、1865年5月17日にフランスのパリで設立された万国電信連合から始まっており、世界最古の国際機関とみなされている。本部はスイス・ジュネーブに設置されている。
ITU-Tは、ITUの電気通信標準化部門(Telecommunication Standardization Sector)で、通信分野の標準策定を行っており、標準規格は勧告(Recommendation)という形をとっている。
ITUのウェブページ:www.itu.int/
(注2)
F.MID、H.MIDはいずれも、審議中のドラフト版勧告案のコード名です。合意(Consent)の後、ITU-Tの承認プロセス(AAP:Alternative Approval Process)の際に番号が与えられて、最終的にF.XXX、H.XXX(XXXは番号)という勧告名となる予定です。
・F.MID:”Service description and requirements for multimedia information access triggered by tag-based identification”
・H.MID:”Tag-based ID triggered multimedia information access system architecture”
(注3)
今回のStudy Group 16会合で承認される予定の新しい作業項目は以下の通りです。
・H.IDscheme:”ID schemes for multimedia information access triggered by tag-based identification”「RFID等のタグ情報の読込みをきっかけとして提供される複合メディア情報サービスのためのIDスキーム」 (合意予定:2009年)
・H.IPR:”ID resolution protocols for multimedia information access triggered by tag-basedidentification”「RFID等のタグ情報の読込みをきっかけとして提供される複合メディア情報サービスのためのID解決プロトコル」(合意予定:2009年)
関連組織のウェブページ
- YRPユビキタス・ネットワーキング研究所
www.ubin.jp/
- ユビキタスIDセンター
www.uidcenter.org/
- T-Engineフォーラム
www.t-engine.org/
なお、今回合意される予定の勧告案には、以下の委託研究の研究成果の一部を含
んでいます。
- (独)情報通信研究機構:「ユビキタスコンピューティング環境を実現する基盤ネットワークプロトコルの研究開発」(平成13〜17年度)
- 総務省:「ユビキタスネットワーク基盤技術の研究開発」 “超小型チップネットワーキング技術”(平成15〜19年度)
- 文部科学省:「安全なユビキタス社会を支える基盤技術の研究開発」 ”セキュア・ユビキタス・コンピューティング・プラットフォーム”(平成17〜19年度)












